多汗症

多汗症について

多汗症は、体温調節に必要な量を超えて汗が多く出てしまう状態です。暑さや運動とは関係なく汗が出たり、緊張や日常生活の中で過剰な発汗が起こったりすることがあります。わき、手のひら、足の裏、顔など特定の部位に多くみられ、日常生活や仕事、対人関係で悩みにつながることも少なくありません。原因や症状に応じて、保険診療で治療を行うことが可能です。

汗をかいている女性
このような場合はご相談ください
  • 暑くなくても汗が多く出る
  • 緊張すると大量に汗をかく
  • 手のひらや足の裏が常に湿っている
  • わき汗が衣類に染みる
  • 汗で日常生活や仕事に支障がある
  • 思春期以降、汗の多さが気になる

多汗症の主な種類

原発性多汗症

明らかな病気がないにもかかわらず、特定の部位(わき、手のひら、足の裏、顔など)に過剰な汗が出るタイプです。思春期頃から症状がみられることが多く、緊張や精神的な刺激で悪化しやすい傾向があります。

続発性多汗症

ほかの病気や薬の影響、体調の変化などが原因となって汗が多く出るタイプです。全身に汗が出ることもあり、原因となる状態の確認が重要です。

部位ごとの治療法

多汗症の治療では、汗の量を抑え、日常生活への影響を軽減することを目標に行います。症状の部位や重症度に応じて治療方法を選択します。

わき汗の場合

まずは保険適用の外用薬であるエクロックゲルやラピフォートワイプの使用をおすすめします。
効果が不十分な場合は、塩化アルミニウムローションやボツリヌストキシン注射(自費診療)による治療も可能です。

手汗の場合

保険適用のアポハイドローションの使用を第一選択としています。
十分な効果が得られない場合には、塩化アルミニウムローション(20%または50%)をご案内しています。

顔面・頭部の汗の場合

現時点で保険適用の外用薬はありません。そのため、ボツリヌストキシン注射(自費診療)を行うことが多いです。
塩化アルミニウムローションを使用する場合もありますが、顔のかゆみや頭皮への塗布のしづらさから、継続が難しいことがあります。

全身の汗の場合

プロバンサイン(内服薬)が保険適用となっています。ただし、閉塞隅角緑内障、前立腺肥大、重篤な心疾患のある方は使用できません。特に40歳以上の方は、使用前に緑内障の有無を確認するため眼科受診を推奨しています。
また、調節障害や眠気が起こることがあり、服用中は自動車の運転や危険を伴う機械操作はできません。さらに、発汗が抑えられることで体温調節機能が低下するため、高温環境では熱中症のリスクが高まります。
※年齢や基礎疾患などを考慮し、医師が適応を判断したうえで処方を行います。

当院の治療法

外用薬

エクロックゲル(腋窩のみ)、ラピフォートワイプ(腋窩のみ)、アポハイドローション(手掌のみ)といった保険適用の外用薬を処方しております。
効果が不十分な場合には、塩化アルミニウムローション(腋窩に使用・自費診療)を使用することも可能です。毎日継続して塗布することで徐々に効果があらわれますが、持続期間は数日~数週間と比較的短いため、繰り返し使用する必要があります。

注射薬(ボツリヌス療法)

ボツリヌス菌由来の天然たんぱく質を有効成分とする薬剤を、腋窩に注射する治療法です。注射自体は5~10分程度で終了します(診察・検査時間を除く)。1回の治療で4~9か月程度発汗を抑えることができ、年に1~2回の施術でコントロールが可能です。

内服薬

抗コリン薬や漢方薬が、多汗症の治療薬として承認されています。外用薬や注射薬と異なり、広範囲の発汗に作用する点が特徴です。診療ガイドラインでは、外用薬や注射薬で十分な効果が得られない場合、またはそれらが適用できない場合に検討される治療とされています。

多汗症は治療で改善が期待できます

多汗症は体質だからとあきらめてしまう方も多いですが、症状や部位に応じた治療によって、汗の量を抑えることが可能です。汗でお困りの方は、早めにご相談ください。