トイレが近い
トイレが近い
頻尿の悩み
日中や夜間にトイレへ行く回数が増えた、外出先でもトイレの場所が気になる。
――このような変化に心当たりはありませんか。頻尿は女性にも多いお悩みで、体質や生活習慣、年齢の影響と思って様子を見てしまう方も少なくありません。
しかし、頻尿の背景には膀胱の働きや尿路の炎症など、泌尿器科で確認した方がよい状態が関係していることがあります。症状の出方や続き方に注目することが大切です。
- トイレに行く回数が増えた
- 外出中もトイレが気になる
- 夜中に何度もトイレで目が覚める
- 急に尿意を感じ、トイレに間に合わなくなった
- 排尿量は少ないのに回数が多い
- 仕事や睡眠に影響している
- トイレを気にして水分を控えるようになった
症状から考えられること
トイレが近い症状は、膀胱が刺激に敏感になっていたり、尿をためる働きがうまくいっていないサインとして現れることがあります。冷えや水分量の影響だけでなく、膀胱や尿道の変化が関係している場合もあります。
日中だけでなく夜間に何度もトイレに起きる場合や、急な尿意を繰り返す場合は、原因を調べておくことが必要です。
考えられる主な病気
-
過活動膀胱
膀胱が敏感になり、尿意を強く感じやすくなる状態です。 -
膀胱炎(尿路感染症)
炎症により頻尿や違和感が出ることがあります。 -
膀胱がん
「痛みのない血尿」が初期症状として現れることがある、膀胱の粘膜から発生するがんです。 -
間質性膀胱炎
感染がないにもかかわらず、膀胱に痛みや強い尿意・頻尿が続く状態です。 -
GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)
女性ホルモンの低下により、頻尿・尿漏れ・膣の乾燥などが起こる状態です。 -
MUFS(筋膜性頻尿症候群)/ MPPS(筋筋膜性骨盤疼痛症候群)
骨盤周囲の筋肉や筋膜の緊張により、頻尿や尿意切迫感などが生じる状態です。 - 急性膀胱炎
細菌感染によって膀胱に炎症が起こり、排尿時の痛みや頻尿、残尿感などの症状があらわれます。 - 神経因性膀胱
神経の障害により膀胱の働きがうまく調整できなくなり、尿が出にくい・もれるなどの症状が起こる状態です。 - 尿路結石症(尿路結石・膀胱結石)
尿の通り道に結石ができる病気で、強い痛みや血尿、排尿時の違和感などを引き起こします。
過活動膀胱
過活動膀胱は、膀胱が過敏になり、尿が十分に溜まっていなくても強い尿意を感じる状態です。突然トイレに行きたくなる、我慢しにくいといった症状が目立つことがあります。
頻尿が続くことで外出が不安になったり、夜間に何度も目が覚めて睡眠に影響するケースもあります。
生活の中で困りごとが増えている場合は、状態を確認しておくことが大切です。
当院で行う検査
まずは詳しい問診が中心になります。
- 症状の内容(頻尿・尿意切迫感・夜間頻尿など)
- いつ頃から続いているか
- 日常生活への影響
- 服用中のお薬の確認
そのうえで必要に応じて、
- 尿検査(感染や血尿の有無を確認)
- 残尿測定(排尿後に膀胱内に尿が残っていないか)
- 超音波検査(膀胱や腎臓、前立腺(男性のみ)の状態確認)
などを行うことがあります。
症状が強い場合や他の病気が疑われる場合は、CT、MRI、膀胱鏡などの追加検査を行うケースもあります。
治療方法
症状の程度や生活状況に合わせて組み合わせて行います。
生活指導
- 水分のとり方の調整
- カフェインやアルコールの控えめ
- 膀胱トレーニング
- 骨盤底筋体操
など、日常生活の見直しから始めることがあります。
薬物療法
抗コリン薬(膀胱の過剰な収縮を抑える薬)や、β3受容体作動薬(膀胱をゆるめて尿をためやすくする薬)を用いて治療を行います。
受診の目安
次のような場合は、一度受診をお勧めします。
- 急な尿意や頻尿が続いている
- 夜間に何度もトイレで目が覚める
- 外出が不安になるほど尿意が強い
- 我慢が難しく、生活に支障が出ている
- 市販薬や生活改善だけでは良くならない
「年齢のせいかな」と我慢される方も多いですが、早めに相談することで楽になるケースも少なくありません。
膀胱炎
(尿路感染症)
膀胱炎は、細菌感染などにより膀胱に炎症が起こる状態です。トイレが近い、残尿感がある、排尿時に違和感があるといった症状が出ることがあります。
女性は尿道が短いことなどから膀胱炎が起こりやすいとされ、繰り返す方もいます。
放置すると症状が長引くことがあるため、早めの確認が大切です。
当院で行う検査
まずは症状について詳しくお伺いします。
- 排尿時の痛みや違和感の有無
- 頻尿、残尿感、血尿の有無
- 発熱や腰の痛みがないか
そのうえで、
- 尿検査(細菌・白血球・血尿の有無を確認)
を行い、膀胱炎の可能性を判断します。
症状が強い場合や繰り返している場合には、
- 尿培養検査(原因菌の特定)
- 超音波検査
- GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)を疑い、膣PHを測定
などを追加することもあります。
治療方法
主にお薬による治療が中心です。
- 抗菌薬
- 痛みが強い場合は鎮痛薬
を症状に合わせて処方します。
あわせて、
- 水分をしっかりとる
- 尿を我慢しない
- 体を冷やさない
などの生活上の注意をお伝えすることもあります。
多くの場合、数日〜1週間程度で症状は軽くなりますが、自己判断で服薬を中止せず、処方された期間は最後まで内服することが大切です。
またGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)が疑われる場合、エストロゲン膣錠、陰部の保湿、膣レーザー(膣ハイフ)で治療を行います。
受診の目安
次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
- 排尿時の痛みや違和感がある
- トイレが近い、残尿感が続く
- 尿が濁る、血が混じる
- 下腹部の痛みがある
- 発熱や背中の痛みを伴う
特に、発熱や腰の痛みがある場合は腎臓まで感染が広がっている可能性もあるため、早めの確認が重要です。
-
早めの受診が必要な場合
発熱や腰の痛みを伴う場合は、早めの受診をお勧めします。
膀胱がん
膀胱がんは、膀胱の内側の粘膜から発生するがんです。最も多い初期症状は「痛みなどの症状を伴わない血尿」で、早期に発見できれば内視鏡による手術で治療が可能です。
当院で行う検査
問診では以下の内容を確認します。
- 血尿の有無(目で見て赤いか、健康診断の指摘か)
- 排尿時の痛みの有無
- 喫煙歴(喫煙は膀胱がんの最大のリスク要因です)
そのうえで必要に応じて、
- 尿検査・尿細胞診(尿の中にがん細胞が混じっていないかを詳しく調べます)
- 超音波検査(膀胱内に腫瘍が突出していないかを確認)
- 膀胱鏡検査(内視鏡を挿入し、膀胱の内部を直接観察して腫瘍の有無を確認)
- CT・MRI検査(がんの広がりや転移の確認。必要に応じて近隣の総合医療機関にご紹介)
治療方法
- TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術):尿道から電気メスで腫瘍を削る治療。お腹を切らずに治療可能。
- 膀胱内注入療法(抗がん剤やBCGを膀胱内に直接注入)
診断がついた場合や上記治療が必要となれば、迅速に近隣の総合医療機関にご紹介します。
受診の目安
- 尿の色が赤、または茶褐色になった(一度きりで止まった場合も要注意です)
- 健康診断で「潜血(血尿)」を指摘される
「一度きりの血尿だから」「痛くないから」と放置せず、念のため受診しておきましょう。
間質性膀胱炎
間質性膀胱炎は、膀胱の粘膜が薄くなるなどの原因で、尿が溜まる際に下腹部に激しい痛みや強い尿意(尿意亢進)を感じる病気です。細菌感染による一般的な膀胱炎とは異なり、抗生物質が効かないのが特徴です。
当院で行う検査
他の疾患を除外しながら、間質性膀胱炎特有の症状を確認します。
- 痛みが出るタイミング(尿が溜まった時に痛み、出すと楽になるか)
- 1日の排尿回数(非常に多い頻尿がみられることがあります)
そのうえで必要に応じて、
- 尿検査
- 排尿日誌(数日間、飲んだ水の量と排尿した量・時間を記録)
- 膀胱鏡検査(膀胱内に特有の炎症(ハンナ病変)や出血がないかを確認)
治療方法
生活習慣の改善とお薬による治療を並行して行います。
- 食事療法・生活指導(刺激物(強いスパイス、高カリウム食品、柑橘類、アルコール、カフェインなど)を控える)
- 薬物療法(膀胱粘膜を保護するお薬や、痛み・過敏を抑えるお薬)
- 膀胱水圧拡張術(麻酔下で膀胱に水分を注入し、縮まった膀胱を広げる治療)
受診の目安
- 尿が溜まると下腹部や尿道付近が痛む
- 常に強い尿意があり、1日に何度も(15回以上など)トイレに行く
GSM
(閉経関連泌尿生殖器症候群)
閉経に伴う女性ホルモンの減少により、デリケートゾーンや泌尿器に現れる膣の乾燥・萎縮、性交痛、尿漏れ・頻尿などのさまざまな不快な症状を総称して「GSM」と呼びます。加齢による自然な変化ではありますが、適切にケアをすることで症状の改善が期待できます。
最近は研究が進み病態がより明らかになって治療の幅が広がってきました。ただ今でも広く認知されているわけではなく、治療法がないと言われて悩まれている患者様は多数いると推察されます。
当院で行う検査
まずは詳しい問診が中心になります。
- 症状の内容(乾燥感、かゆみ、性交時の痛み、頻尿、尿漏れなど)
- いつ頃から続いているか
- 日常生活への影響、服用中のお薬の確認
そのうえで必要に応じて、
- 尿検査(膀胱炎などの感染がないかを確認)
- 視診(外陰部や腟粘膜の状態(乾燥や萎縮の程度)を確認)
- 超音波検査(膀胱や子宮の状態、残尿がないかなどを確認)
- 内診・膣培養検査・膣pH検査(必要に応じて)
治療方法
症状の程度や生活スタイルに合わせて、最適な方法をご提案します。
生活指導・セルフケア
- デリケートゾーン専用の洗浄剤や保湿剤の使用
- 洗いすぎの禁止
- 骨盤底筋体操(尿漏れや頻尿がある場合)
薬物療法
- 局所エストロゲン療法(腟錠や塗り薬)
- 保湿剤・潤滑剤
- 漢方薬
レーザー治療(自費診療)
レーザーを用いて粘膜の再生を促し、組織の潤いや弾力を取り戻す治療法です。当院ではyoniHIFUという膣ハイフも用いて治療します。
受診の目安
- デリケートゾーンの乾燥、かゆみ、ヒリヒリ感が続いている
- 以前よりも尿が近くなった、または我慢が難しくなった
- 繰り返す膀胱炎のような症状がある
- ほかの病院では治療法がないと言われた
「年齢のせいだから仕方ない」と一人で悩まれる方も多いですが、GSMは治療によって生活の質(QOL)を大きく改善できる病気です。
MUFS
(筋膜性頻尿症候群)/
MPPS(筋筋膜性骨盤疼痛症候群)
頻尿や残尿感がありながら、検査をしても膀胱や前立腺に異常が見つからない場合、骨盤周りの筋肉や筋膜の硬直が原因となっている可能性があります。これを「MUFS(筋膜性頻尿症候群)」または「MPPS(筋筋膜性骨盤疼痛症候群)」と呼びます。
近年になって解明が進んできていますが、今でも慢性前立腺炎や慢性膀胱炎などと言われ、適切な治療がされていない患者様は多くいらっしゃいます。
当院で行う検査
まずは詳しい問診に加え、筋肉の状態を確認することが重要になります。
- 症状の内容(頻尿、残尿感、下腹部や会陰部の違和感・鈍痛など)
- 生活習慣(デスクワークの長さ、運動習慣、ストレスの有無)
- 過去の治療歴(お薬の効果があったかどうか)
そのうえで必要に応じて、
- 触診(骨盤周りの筋肉(下腹部、内もも、臀部など)にトリガーポイントがないかを確認)
- 尿検査・超音波検査(膀胱炎や結石、癌など他の病気が隠れていないかを除外)
- 残尿測定(実際に尿が残っているのか、感覚的なものかを客観的に判断)
症状が強い場合や他の病気が疑われる場合は、CT、MRIなどの追加検査を行うケースもあります。
治療方法
筋肉の緊張をほぐし、神経の過敏を抑えるアプローチを組み合わせて行います。
理学療法・ストレッチ
- 骨盤底筋の弛緩トレーニング(鍛えるのではなく「緩める」練習)
- 股関節・臀部のストレッチ(筋膜のこわばりを解消)
生活指導
- 長時間のデスクワークや同一姿勢の改善(こまめに動く)
- 冷え対策(入浴による温熱効果)
- ストレス管理(リラクゼーション)
薬物療法・その他
- 筋弛緩薬(ボトックスにより筋肉の過剰な緊張を和らげます)(自費治療)
- 漢方薬(血流改善・内臓の過敏を抑える処方)
- 鎮痛薬(痛みや違和感が強い場合に一時的に併用)
- 筋膜リリース(生理食塩水により筋膜をはがす)(自費治療)
受診の目安
次のような場合は、筋肉や筋膜に原因があるかもしれません。
- 尿検査や一般的な頻尿の薬で改善が見られない
- 座りっぱなしの仕事が多く、腰痛や股関節の硬さを感じている
- 朝よりも、夕方や疲れが溜まった時に症状が強くなる
- 下腹部や股関節周りを押すと、じわっと響くような痛みや尿意を感じる
- 病院で「異常なし」と言われたが、不快な症状が続いている
MUFS/MPPSは適切なリラクゼーションと治療で改善が可能な病態です。気になる症状があれば、まずはお話をお聞かせください。
まとめ
トイレが近い症状は、体質だけでなく膀胱の働きや炎症などが関係している可能性があります。頻尿が続く場合や生活に支障が出ている場合は、泌尿器科での相談をご検討ください。